減塩が叫ばれている昨今、「塩分を控えなければ」と意識して生活している方も少なくないと思います。日本は海のど真ん中に位置する島国であり、古代から日本人は海水から得られる塩を大切にし、健康法や保存法、生活の知恵として活用してきました。では、塩が本当に全て悪者なのでしょうか?そもそも塩にはどんな種類があり、それぞれどう違うのでしょうか。
日本では1970年代以降、天然塩に代わって化学的に作られた塩が流通し、「塩」の概念自体が変化しました。その後、食生活の欧米化やインスタント食品、加工食品の普及に伴い、現代病や糖尿病、心疾患、動脈硬化などの病気が増加しました。インスタント食品や加工食品には精製された塩が大量に使われているため、外食や総菜、コンビニ食などを摂取すると、どうしても過剰に精製塩を摂取してしまうのが現実です。
では、「減塩=すべての塩を減らすべき」と考えれば良いのでしょうか?塩味が感じられなければ十分なのでしょうか?そもそも、塩にはどんな種類があり、それぞれどのような違いがあるのでしょうか。
塩の種類は、主に作り方によって2つに分類されます。
1. 精製塩
精製塩は、電気分解によりナトリウムイオンを抽出し、煮詰めて塩の結晶を作る方法で製造されます。価格が手頃で、スーパーに並んでいる多くの塩(食塩など)は精製塩です。精製塩が体に悪いとされる最大の理由は、塩化ナトリウム以外のミネラル成分をほとんど取り除いてしまうことにあります。たとえば、漬け物には精製塩ではなく「粗塩」が使われるのは、乳酸菌が精製塩ではうまく働かないからです。体に有益な乳酸菌が生きられない精製塩が、体に良いはずはありません。
また、現代人はマグネシウム不足に悩まされがちです。農薬や添加物、精製糖、アルコール、インスタント食品などが原因で、体内のマグネシウムが消費され、慢性的な不足状態に陥っています。しかし、天然塩にはマグネシウムを含むため、これを補うことができます。
2. 天然塩
天然塩は、昔ながらの塩田で作られる自然塩です。海水を天日や平釜で煮詰め、海のミネラルバランスがそのまま残っています。このため、天然塩には多くのミネラルが含まれており、甘味や苦味を感じることができます。天然塩は、体内のミネラルバランスを調整する重要な役割を果たします。逆に、体に悪い塩はミネラルバランスを崩してしまいます。
また、天然塩は経皮吸収によってミネラルを体に取り込むことができ、入浴時に使用すれば肌や髪に良い効果があります。フランス発祥のタラソテラピー(海洋療法)では、海水に含まれるミネラルが体のリズムを整える治療法として利用されています。このように「海のミネラル」は人体に非常に重要です。
塩を選ぶ際のポイント
「自然塩」の原材料は【海水】のみであることが基本です。市販の食卓塩はこの「自然塩」ではないので注意が必要です。製造工程に「天日」「平釜」「逆浸透膜」などが記載されているものを選ぶと良いでしょう。一方、「洗浄」「イオン膜」「立釜」「溶解」などの記載があるものは、ミネラルがほとんど残っていない塩であるため、避けるべきです。
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