ストレスが認知症や自律神経失調症、うつ病など様々な病気のリスクを高めることは証明されています。
運動が認知症予防やその他病気の予防に重要であるもう一つの理由はストレスを軽減してくれることです。ストレスレベルと運動量には明確な関連があります。
運動をするとなんとなく気分がいいということは誰もが経験があると思います。
実際これは研究でも示されており、運動をしたあとはその後一定期間ポジティブな感情が生じやすく、そしてストレスが低下します 。
運動とストレスレベルや感情との関連は、脳の神経伝達物質が関連していると考えられています。
運動することにより、コルチゾールやアドレナリンといった体内のストレスホルモンを減少させ、脳内にドーパミン、セロトニンや脳内の麻薬様物質であるエンドルフィンを増加させます。
セロトニンが増加すれば、心が落ち着いて気分が向上します。また、不安感も和らぎ意欲的な気分になります。
運動により、意欲の増加、情動の安定、高揚感が生じてくるため、楽観的でリラックスした気分になりやすくなることは、ストレスの影響を受けにくいことになります。
もちろん気分が落ち込んでいるとき、活動性が落ちているときにいきなり運動をしようと思ってもなかなか気分がのりません。
ストレスダメージの受けにくさには2種類あり、同じストレスを受けてもダメージを受けにくい場合と、大きなダメージを受けてもそこから素早く回復することができる場合とがあります。
運動によるストレスに対するレジリエンスの効果はどちらが作用しているかは分かっていませんが、運動をしている人はストレスの影響を受けにくいことは事実です。
メンタルが落ちているときに運動で気分を高揚させるということは現実には難しいため、普段から運動しておくことでストレスを受けにくいメンタルに鍛え上げておく、レジリエンスを上げておくことが、ストレス耐性を高める上で重要です。
前述したように、運動によって誘導されるBDNFはストレスに対するレジリエンスを誘導する因子です。
運動を続けられることそのものが、自己イメージと自を向上させ、ストレスの多い状況をコントロールする感覚を高めます 。
運動をしている時間は少なくともストレス要因から気をそらすことができ、身体活動の瞬間を楽しむことができるため不安を感じる時間を減らすことができます。
新型コロナ感染症のまん延によってストレスを感じなかった人はいなかったはずです。
外出できない、人に会えないという突然襲ったストレスのある環境に負けなかった人はどんな人だったか?それは普段から体を動かす習慣のある人でした。
この先も自分でコントロールできないストレスを受ける機会は、多く訪れるはずです。ストレスマネージメントには運動が有効であるということを忘れないように、普段から体を動かす習慣をつけること、そしてストレスで気分が滅入っているなと感じたらまず運動をしようと頭の中に思い浮かべるようにしておいてください。
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